旅行業務取扱管理者 試験 完全ガイド|試験概要、独学での合格ステップを徹底解説

旅行業務取扱管理者

この記事では、国内・総合旅行業務取扱管理者の試験概要や難易度、出題傾向や今後の予想問題などをまとめました。
また筆者の経験から独学でもできる合格までのスケジュールなどを詳しく解説します。

  1. 旅行業務取扱管理者とは?
  2. 試験の内容を徹底解説!
  3. 過去問から見る出題傾向
  4. 旅行業務取扱管理者 2025年度(R7)の出題予想
  5. 効率的な学習方法とは?
  6. おすすめの参考書
  7. 2024年の受験者の感想とアドバイス
  8. まとめ

旅行業務取扱管理者とは?

旅行業務取扱管理者は、日本で唯一の旅行関連の「国家資格」です!

旅行の販売や企画などを取り扱う旅行業者は、法律(旅行業法)により、原則として各営業所に1人以上の「旅行業務取扱管理者」の資格者を置かなければならないと定められています。

旅行業務管理者は、旅行業者が適切に法令を遵守し、安全かつ快適な旅行サービスを提供するために、業務の管理監督をする重要な役割を果たします。

旅行業務取扱管理者になるには、国家試験(旅行業務取扱管理者試験)に合格しなくてはなりません。

旅行業界で働きたい(働いている方)のキャリアップにおすすめの資格です。

また、年齢、学歴、実務経験などの制限がなく誰でも受験できるため、昨今SNSなどで旅行情報を発信しているような方にも人気の資格となっています。

旅行業務取扱管理者 資格の種類

旅行業務取扱管理者試験には、以下の3種類があります。

  • 総合旅行業務取扱管理者試験
  • 国内旅行業務取扱管理者試験
  • 地域限定旅行業務取扱管理者試験

総合旅行業務取扱管理者試験

国内・海外旅行業務の両方、旅行業全般を取り扱うことができる資格です。
試験科目は、以下の4科目で、幅広く国内外の業務全般に関する必要な知識が問われます。
(1)旅行業法及び関係法令
(2)旅行業約款及び関連約款
(3)国内旅行実務
(4)海外旅行実務

国内旅行業務取扱管理者試験

国内の旅行業務のみを取り扱うことができる資格です。
試験科目は、以下の3科目で、主に国内観光の知識や業務に関する法規関連の必要な知識が問われます。
(1)旅行業法及び関係法令
(2)旅行業約款及び関連約款
(3)国内旅行実務

地域限定旅行業務取扱管理者試験

観光庁が管轄し、主に地域の振興や活性などを目的として2018年に新設された資格です。
地域を限定した旅行業務を取り扱うことができます。
地域に根ざした比較的規模の小さい旅行会社などがこれに当たり、インバウンド需要の増加とともに、より注目度が高まっています。
試験科目は、以下の3科目で出題範囲が限定されているため、試験の難易度も他に比べて低くなっています。
(1)旅行業法及び関係法令
(2)旅行業約款及び関連約款
 ※航空運送約款を除く
(3)国内旅行実務
 ※全国地理及び航空運送関係を除く

試験の実施時期と申し込み方法

それぞれの試験により、管理している団体が異なり、試験の実施時期や申込先が変わります。
以下では、例年の受験受付、試験日、合格発表などの実施状況をまとめました。

旅行業務取扱管理者試験の実施時期
国内試験総合試験地域限定
実施機関ANTAJATA観光庁
実施要領発表6月上旬7月上旬7月上旬
申込締め切り7月上旬8月上旬7月下旬
試験日9月上旬~下旬
(受験者が選択)
10月下旬の日曜日or祝日9月下旬の日曜日
合格発表10月下旬12月中旬11月中旬
申込方法オンラインのみオンラインor郵送郵送のみ
受験料6,500円5,800円5,500円

国内試験は、2024年度よりパソコンの入力で行うCBT方式に変更され、9月中の複数日より試験日と会場を選んで受験することが可能です。
いずれにしても、試験日が被らないので、それぞれの試験を同年に受験することもできます。

受験資格と主な受験者

年齢、学歴、実務経験などの制限がなく誰でも受験可能!

旅行業務取扱試験には受験資格の制限はなく、誰でも受験可能です。学歴や年齢、実務経験の有無を問わないため、以下のような方が主に受験しています。

旅行業界でキャリアアップを目指す社会人
業界でのキャリアを伸ばしたい人や、業務の幅を広げたい人が受験します。
旅行会社で必ずしも必要な資格ではありませんが、法令上、各営業所に1人以上の資格者が必要となるため、管理業務を任されたり、また旅行会社によっては資格者に対してプラスの手当てが支払われる場合もあります。

旅行業界を目指す学生
旅行会社や観光関連の職種に就職したい学生が、就職活動で有利になるために取得を目指します。
旅行業界への就職において必須の資格ではありませんが、意欲を示すことができます。

趣味で旅行に興味がある人
国内唯一の旅行関連の国家資格であるため、単なる趣味から「旅行のプロ」という箔がつきます。趣味の幅を広げたい人やSNSなどで旅行情報を発信している人などにも人気の資格です。

合格率、必要な勉強時間は?

旅行業務取扱管理者試験の難易度、合格率は、①総合、②国内、③地域限定、それぞれの資格によって変わってきます。

資格別の合格率、難易度

合格率は年度により多少変わりますが、平均すると以下のようになっています。

合格率勉強時間難易度
総合10~20%300~400時間
国内30~40%約200時間やや難
地域限定40%前後150~200時間

勉強時間の目安

平日2時間+休日4時間のペースで勉強する場合、
200時間なら約3か月、300時間なら約4か月、400時間なら約5か月半が目安となります。
これを基に学習スケジュールを調整するとよいですね!

合格することで得られるメリット

合格、つまり旅行業務取扱管理者の資格を得ることで、以下のようなメリットがあります。

旅行業務取扱管理者としての業務
旅行業者における管理者として業務を遂行できるようになります。営業所の専任となれるだけでなく、資金があれば旅行会社そのものを運営することも可能です。

就職・転職活動での優位性
資格保有者は、特に旅行会社や観光関連の企業で採用されやすくなります。また、業務の幅が広がるため、昇進の可能性も高まります。

旅行関連の知識が大幅に向上
法律や地理、観光資源に関する深い知識を得られるため、日常生活や趣味としての旅行にも役立ちます。

業界全体での信頼度向上
資格保有者は、顧客や取引先から信頼されやすく、安心して業務を任せてもらえることが多いです。

試験の内容を徹底解説!

マークシート形式、各科目60%以上得点で合格!

旅行業務取扱管理者の試験では、旅行業務に必要な知識とスキルを幅広く問われます。
この章では、試験科目や出題形式について詳しく解説します。

試験科目とそれぞれの試験時間

国内旅行業務取扱管理者

試験科目問題数/配点試験時間
①旅行業法25問/100点120分
②旅行業約款及び関連約款25問/100点
③国内旅行実務38問/100点

総合旅行業務管理者

試験科目問題数/配点試験時間
①旅行業法25問/100点120分
②旅行業約款及び関連約款30問/100点
③国内旅行実務32問/100点120分
④海外旅行実務52問/100点

出題形式と合格点

出題はすべてマークシート形式です。名前などの他に文字を記述する出題はひとつもありません。
※なお、令和6年(2024年)から、国内試験はパソコンを使って回答するCBT試験方式に変更されています。

4つの選択肢から正解を選ぶ4択の問題がほとんどです。(3択、2択問題も多少ある)
選択問題と聞くと一見、簡単な気がしますが、最近では「該当するものをすべて選びなさい」という設問も増えているので、正確な知識が要求されます。

合格点は、各科目で60%以上の得点が必要です。
総合は4科目(①法令②約款③国内実務④国際実務)、国内、地域限定は3科目(①法令②約款③国内実務)ですが、それぞれで60%以上得点することが必要になります。

例えば、総合の試験で、①法令②約款③国内実務で満点だった場合でも④国際実務で59%以下の得点だと、残念ながら不合格となってしまいます。

裏を返せば、他の教科も満点まで取る必要がないので、バランスよく全部の科目で60%以上得点すること目指し学習計画を立てましょう。

過去問から見る出題傾向

この章では、直近10年間分の過去問の分析をもとに最近の出題傾向について詳しく解説します。

過去の出題から、科目別に傾向と配点は以下のようになっています。

①旅行業法

旅行業を営むために必要な法律に関する出題です。
国内・総合とも、出題傾向に大差はありません。
広く各項目について出題されますが、「目的、登録制度、旅程管理、保証制度」については、ここ数年は毎年1問以上の出題があります。

100点満点、1問4点で25問出題されます。
60%以上得点するには、15問以上正解しなければなりません。

②旅行業約款及び関連約款

法令と約款は少し似ていますが、法令は法律で決められている条件や決まり、約款は実務における契約を締結する際の決まりのことをいいます。

実際に旅行会社などが使用している「標準旅行業約款」からの出題がメインです。
国内試験では100点満点、1問4点で25問出題され60%以上得点するには、15問以上正解しなければなりません。
総合試験は、同じく100点満点ですが、4点問題は20問、その他に2点問題(2択)が10問出題されます。こちらも合計60%以上の得点で合格となります。

航空機に関する、(総合のみ)国際運送約款、国内旅客運送約款からの出題が2点問題となっています。

モデル宿泊約款、貸切バス約款、(国内では)フェリー標準約款、JR旅行業規則からも出題されますが、覚えることが多い割には各1問ずつと配点も低いので、こちらの学習は優先順位は低めです。

③国内旅行実務

JRの運賃、航空運賃、宿泊料金、貸切バスなどに関する運賃の計算方法や規則、また国内の観光地理全般などが問われます。
特に、JR運賃は毎年さまざまな範囲、組み合わせで出題されおり、問題の予想が立てにくいため多くのパターンを想定して学習する必要があります。

国内試験では年度により配点が若干異なります。
直近の2024年に公表された出題例では配点は以下のようになっていました。
(2024年からCBT試験になっており、受験者ごとに問題のパターンがあるようです)
①運賃、料金、実務に関する問題 12問×4点=48点
②国内観光資源 26問×2点=52点
※①の運賃、料金、実務に関する問題12問のうちJRに関する問題は6問と半数を占めています。

総合試験では、毎年以下のような配点になっています。
①運賃、料金、実務に関する問題 12問×5点=60点
②国内観光資源 20問×2点=40点

④海外旅行実務(総合試験のみ)

海外実務は問題数が52問あり、航空運賃計算、英文読解、観光資源、出入国に関する法律や決まり、時差計算、航空会社コードなど、項目も多岐にわたっています。
配点は、
観光資源(海外地理) 1問2点×20問=40点
観光資源以外 1問5点×32問=160点
となっており200点満点で、合格するには60%以上の120点が必要です。

航空運賃の計算は、国内のJR運賃計算同様、毎年さまざまなパターンで出題されており、学習に時間を要します。

英文読解は、3~5パラグラフくらいの実際にある観光地や鉄道などの案内文を読み、主に内容を把握できているかを問う問題が出題されます。難易度は英検2~3級と言われています。
業務で英語に触れ合う機会が多い人や、もともと英語ができる場合は難しいことは特にないのですが、基礎からやらなくてはならない場合は、相当な時間がかかる項目でもあります。
全体の中では200点中の40点。英語が苦手な人は最初からこの40点の配点をないもの考えて、他の項目でカバーする方が効率的です。

問題を見てみよう!その1

以下は、旅行業法第1条(目的)に定められている、試験勉強を始めたら一番最初に学習する内容です。
(マーカーは筆者によるもの)

第1条(目的)
この法律は、旅行業等を営む者について登録制度を実施し、あわせて旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保するとともに、その組織する団体の適正な活動を促進することにより、旅行業務に関する取引の公正の維持旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的とする。

上の条文から、例えば、以下のような問題が出題されます。

次のa~dのうち、「法第1条(目的)」に定められているものをすべて選びなさい。
a. 旅行業務に関する取引の公正の維持
b. 旅行の安全の確保
c. 旅行業者の利便の増進
d. 旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保

条文にそのまま記載されている、a, b, dが正解になります。
注意が必要なのは、c の「旅行業者の利便の増進」のような選択肢!
条文には「旅行者の利便の増進」と書いてあります。
つまり、旅行者(旅行をする人)の利便の促進は目的の一つではあるが、旅行業者(旅行会社など)の利便の促進は目的には定められていません。
このように、旅行者と旅行業者と対象が違うだけで正解が変わってしまうので、正確に内容を把握することが重要になります。

とは言っても、実際には上記のような(あえて言うなら)ひっかけ問題のようなものは、毎年出題されるものが決まっているので、条文をひとつひとつ全部覚えなければならないというほどの難しいものではありません。

問題を見てみよう!その2

以下は、国内旅行実務の観光資源に実際に出題された問題です。(R2年・総合)

次の郷土料理と都道府県の組み合わせのうち、誤っているものはどれか。
a. きりたんぽ – 秋田県
b. へぎそば – 新潟県
c. ほうとう – 長野県
d. ふなずし – 滋賀県

誤っているものを選ぶ問題なので、正解は c. です。
「ほうとう」は山梨県の郷土料理ですね!
このように観光や地理、名産に関しての設問もあります。知識として知っていることもあれば、かなりマニアックな事柄も出題されますが、知識を広げる良いきっかけと捉えましょう。

また、最近は写真で場所や建物名などを問う設問もあるので、過去問などを中心にWEBで調べながら、周辺を旅しているように学ぶのも楽しくておすすめです。

当サイトはクイズサイトですので、クイズで楽しく学びながら覚えることができます♪
↓↓ぜひご活用ください。

旅行業務取扱管理者 2025年度(R7)の出題予想

法令や運賃に関するルールの変更点

近年では、一般的にオンラインでの契約や申請が主流となり、法令やルールの改正に伴い、電子手続き・eチケットに関する出題も増えています。関連する情報をアップデートしておきましょう。

また、JR運賃/航空運賃は、ルールやサービスの改正が頻繁に行われており、新しい路線や運賃形態について出題されやすい傾向にあります。

最近の法令やルール変更点
2023年 旅券法改正、施行
2023年 JAL運賃制度(割引)変更
2024年 北陸新幹線の延伸
2024年 JR青春18きっぷに関する変更
など

テレビドラマの舞台に関連する出題

国内地理の問題では、テレビドラマ、特にNHKの朝ドラや大河ドラマのゆかりの地やロケ地に関する出題されることも多いです。

2024年朝ドラ(後期)「おむすび」
農業を営む家族とともに暮らす糸島市で成長していく物語。
ロケ地:福岡県糸島市、神戸市、大阪市など

2025年朝ドラ(前期)「あんぱん」
アンパンマンの作者やなせたかしと小松暢のぶの夫婦をモデルにしたドラマ。
ロケ地:高知県香美市香北町、芸西村琴ケ浜など

2024年大河ドラマ「光る君へ」
平安時代中期を舞台に、世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を著した紫式部の生涯を描いた物語。
ロケ地:京都市 平安神宮、岩手県奥州市の歴史公園えさし藤原の郷、栃木県下都賀郡壬生町など

2025年大河ドラマ「べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜」
江戸時代に出版業を営んだ蔦屋重三郎の波乱万丈な人生を描いた物語。
ロケ地:京都市、長岡京市、京丹波町
主人公の蔦屋重三郎ゆかりの地である台東区には、2025年2月に「べらぼう 江戸たいとう 大河ドラマ館」がオープン。

新設オープンやイベント開催地など

国内、総合試験を通して、その年に話題になった場所や創業を開始した施設なども出題される傾向にあります。

近年オープンしたテーマパーク
2023年 ワーナー ブラザース スタジオツアー(東京都練馬区/としまえん跡地)
2024年 イマーシブ・フォート東京(東京都江東区/お台場)

2025年の開催予定行事
4~10月 大阪湾人工島・夢洲(ゆめしま)で大阪万博「2025大阪・関西万博」開催予定
6月 主要7カ国首脳会議(G7サミット)カナダ西部アルバータ州カナナスキスで開催予定
9月「世界陸上競技選手権大会(世界陸上)」が東京で開催予定

インバウンド需要への対応

新たな観光資源やインバウンド対策など、最新の業界動向が試験にも反映される可能性があります。
観光庁のホームページなどでインバウンド観光客に向けたプランなども公表されていますので、目を通しておくと良いでしょう。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/ap_dai1/siryou.pdf

効率的な学習方法とは?

旅行業務取扱管理者は国家試験であり、出題範囲も多岐にわたるため、合格を見据えた学習計画を立てることがが合格へのカギとなります。

この章では、筆者の合格までの経験も交えて、計画の立て方や教材の選び方、効果的な学習スタイルの選択について解説します。

まずは過去問を1年分解いてみよう!

先述したように、国内試験では約200時間、総合試験では300〜400時間の学習が必要となります。
ただしこれらの時間は目安であり、もともとの知識の量にもより変わってきます。

筆者がおすすめしたいのは、まずは学習を始める前に一旦、過去問1年分を解いてみることです。

過去問は国内、総合それぞれにホームページで公開されています。
法令、約款、国内実務、海外実務(総合受験のみ)に分けて、1年分で良いので過去問を解いてみましょう。

「ある程度、勉強してから解かないと意味がない」と言う人もいますが、もともとの知識量を把握しないと、何にどれだけ学習時間がかかるのかのスケジュールも立てられません。
また、この資格を受けようと思った人は、少なからず一般の人よりも「旅行」に関する知識はあると思います。(旅行会社などですでに働いている人なら尚更です)

最初に過去問を解いてみて、ある程度答えられる項目とまったく歯がたたない項目を把握して、今後の学習のスケジュールを立てるのがおすすめです。
すべてにおいてまったく歯がたたないとしたら、それを元に学習のスケジュールを立てれば良いのです。まずは、それが分かることが重要です。

・国内試験(ANTA)の過去問
https://www.anta.or.jp/exam/shiken/kakomon.html

・総合試験(JATA)の過去問
https://www.jata-net.or.jp/seminar/page-41637/exam_xaminationquestion/

解答もホームページに掲載されているので、答え合わせの際には、正解を確認するというよりは、理解度が低い項目がどこなのかを確認する程度にしておきましょう。
理由→再度過去問に挑戦する時のために、問題文と正解を記憶しない方が良いため。

試験までのスケジュール

先述したように、まずはどの項目が自分にとって時間がかかりそうなのかを把握した上で、以下を参考に学習スケジュールを立てましょう。

※暗記では通用しない、JRの運賃計算と(総合受験の場合は)航空運賃の計算は、パターンが多く習得に時間がかかる項目なので、多めに時間を取るようにしましょう。

・国内試験スケジュール例
6月:法令/約款
7月:国内旅行実務
8月:過去問演習
9月:本番!

・総合試験スケジュール例
7月:法令/約款
8月:国内旅行実務
9月:海外旅行実務
10月:過去問演習
10月後半:本番!

効率的な勉強スケジュールのポイント

  1. 逆算して分野別の計画を立てる
    試験日から逆算し、法令、約款、実務、さらにもっと細かく、分野ごとに学習期間を設定します。
    参考書〇〇〜〇〇ページ(〇〇の項目)のように分けて、スケジュールを立てましょう。
  2. 毎日の学習時間とスキマ時間の併用
    仕事や家事などのスケジュールに合わせて、平日〇〇時間、休日〇〇時間のように、おおまかに勉強時間を決めておきましょう。
    また、それとは別に通勤時間や仕事の休憩時間などのスキマ時間を活用することがとても有効です。スキマ時間には、スマホを利用するのがおすすめです。
    有料のアプリや当サイトにも掲載している5~10分くらいでできる確認問題や練習問題で知識の定着に努めましょう。
  3. 暗記項目は何度も戻ってくり返す
    暗記項目も多いので、別の分野を学習している間でも、前に学習した分野の暗記も時々確認しましょう。
  4. 模擬試験や過去問演習を活用
    試験が近くなったら、本番形式で解答することで、時間配分や出題形式に慣れることができます。
    模擬試験や過去問を本番と同じ時間配分で通しで解くようにしましょう。

    通しで解くことで、思わぬ気づきがある場合も!
    ※例えば、筆者は、休日に丸1日を確保して、朝から試験と同じタイムスケジュールで過去問を解いてみたところ、お昼ごはん後の国内・海外旅行実務の時間にかなり眠くなってしまったので、試験当日はお昼ごはんを軽いもの&血糖値が上がらないものにして工夫しました。
  5. 必要に応じて学習スケジュールを見直す
    最初に立てた学習スケジュールを見直す機会を設けましょう。
    スケジュール通りに行かないこともあるので、当初の予定に固執せずに見直しも大切です。

モチベーションを保つコツ

  1. 目標を明確に設定する
    資格を取得した後のビジョン(旅行業界で働きたい、キャリアアップしたいなど)を具体的に描くことが重要です。
  2. スモールステップで達成感を得る
    毎日学習した内容をチェックリストに記録し、小さな達成感を積み重ねましょう。
  3. ポジティブな環境を作る
    家族や友人に目標を共有して応援してもらう、SNSで同じ目標を持つ仲間と交流するなど、励まし合える環境が大切です。

おすすめの参考書

必ず最新の参考書を使おう!

先述したように、法令やルールの改正などが頻繁に行われており、変更部分についての出題も多いので、教材や参考書などは最新の情報に対応しているものを使用するようにしましょう。

ぜひ当サイトの練習問題もご活用ください。
(解説や写真も載ってます!)

以下は筆者が学習のために使った教材です。

ユーキャンの旅行業務取扱管理者速習レッスン国内総合

法令、約款、国内旅行実務、海外旅行実務の4項目について、非常に詳しく解説されています。
また、各項目の末尾に7~10問程度の「確認テスト」も掲載されているので、学習した部分の理解度が確認できます。
実際、こちらの参考書をくまなくやっておけば、ほぼ合格間違いなしと思います。
ただし、本が分厚くて持ち歩くのが大変なこと、とにかく細かいので全部やろうと思うと途中で挫折してしまう可能性もあるという点がデメリットとして挙げられます。

挫折してしまうかも?と思う人は、以下の「資格の大原」が出版しているシリーズがおすすめです。
内容量としては同じような感じですが、科目ごとに冊子に分かれているので持ち運びが便利です。

旅行業務取扱管理者試験標準テキストシリーズ 資格の大原

こちらのシリーズは以下のように番号で分かれています。
1. 観光地理<国内・海外>
2. 旅行業法・約款
3. 国内旅行実務
4. 海外旅行実務
科目ごとに薄い冊子に分かれているため、持ち運びに便利です。
また、このシリーズは「テキスト」と「トレーニング問題集」があり、知識の確認や定着にも活用できます。
1冊1700円~2200円程度で、全部買い揃えるとまあまあ高額になってしまうのが難点です。

総合旅行業務取扱管理者 過去問題集 TAC出版

総合試験の過去5年分の過去問題集です。
1年ごとに分かれています。過去5年分の過去問自体は、それぞれJATA、ANTAのホームページに掲載されているのですが、解答は記号のみとなっています。こちらの問題集では、各設問ごとに解説が掲載されています。

筆者が過去問演習を解く際には、ホームページから過去問をダウンロードし、プリントアウトして出来るだけ本番と同じようなイメージでやり、答え合わせの際にこちらのテキストを利用しました。

※なお、2024年には販売がなく(2024年現在)最新のものは2023年版となっているようです。法改正などの変更点もあるので、注意が必要です。

ユーキャンの総合旅行業務取扱管理者 過去問題集

こちらも過去問集ですが、解説がかなりしっかりしています。
上記のTAC出版と違う点としては、TAC出版の問題集が過去問が1年ごとの掲載であるのに対して、こちらは項目ごとに分かれているため、弱点だけをまとめて学習できます。
また、問題も最新の法令やルールなどに改変して出題されているので、最新情報の理解の促進に役立ちます。

※こちらの問題集は、筆者は主にJR運賃計算と航空運賃計算の部分のみ利用しました。
運賃計算は、参考書だけでは対応が難しく、とにかく演習問題をたくさん解くことが重要です。

上記のTAC出版はあくまでも模擬試験的に使用して、理解が弱い項目をこちらのユーキャンの過去問集で項目別にくり返す、というような使い方がおすすめです!

↓↓こちらもご活用ください!

2024年の受験者の感想とアドバイス

以下はX(旧Twitter)で2024年の国内/総合試験を受けた方の感想や今後受ける方へのアドバイスです。

国内試験

国内旅行業務取扱管理者は、2024年からCBT試験(パソコンを使った試験)に移行しています。
メリットとしては、日本全国の会場で都合の良い日を選んで受験ができるようになり、試験へアクセスしやすくなりました。

ただ、X(旧Twitter)などのポストを見ていると、メモ用紙とボールペンが渡され、メモはできるものの、問題文に線が引けないので苦慮したとの声も多く聞かれます。
上記ポストの「③マウスしか使わない試験なのでキーボードは開始前に机の脇にどけておく」理由は、卓上でメモをする際に邪魔になるからと続けてポストされています。

また、これまでは問題は持ち帰って自己採点などができたのですが、それもできなくなってしまい、合格発表まで結果が分からなかったり、不合格だった場合も何を間違えてしまったのか把握できないこともCBT方式のデメリットと言えます。

※筆者は国内試験は受験していませんが、総合の試験の時は、キーとなる語句などを丸で囲んだり、下線を引いたりして、自分自身に注意喚起をしていたので、それができないのはちょっと痛いなと想像します。
当サイトは、クイズ形式でさまざまな問題に挑戦できるので、CBTの練習という言う意味でも、何回も解いて慣れておくと良いでしょう!

※耳栓の用意があるとの情報もあったので、周りの方のカチカチという操作音が気になる場合は利用しましょう。

総合試験

①時間配分
運賃計算に時間がかかり過ぎてしまったため、他の問題を解く際に焦ってケアレスミスが多くでてしまったこと。
→運賃計算は毎年「新しい組み合わせ」で出題されるので、つまづいてしまった際には、問題に固執せずに他の問題を確実に答える方が良い。(もしくは、運賃計算をあとにやる)
※必要に応じて、耳栓などを使用することも可能かもしれません。(シンプルなものを用意し、事前に試験官に確認をとりましょう)

②試験中の集中力
試験開始から30分過ぎると試験会場を出ることができるため、集中力が削がれる。
→法令や約款(まとめて出題されるため、回答の順序は問われない)の「全部選びなさい」の問題を先にやる。
③試験会場(立教大学)
時計がない、寒い/暑い、人が多い、キャンパスが広くてコンビニが近くにない。

まとめ

旅行業務取扱管理者試験は、観光業界で働くための重要な資格であり、業界での信頼とキャリアアップにつながる大きな一歩です。
国内外の旅行業務に必要な知識やスキルを身につけることで、お客様に満足度の高い旅行体験を提供できるだけでなく、自身の市場価値も向上します。

試験の難易度は決して低くありませんが、計画的な学習と実践的な知識の習得を通じて、合格への道を着実に進むことができます。

このページでは試験の概要やメリット、勉強方法について詳しく解説しましたので、ぜひ参考にしてください。

あなたの努力が実を結び、旅行業界での新たなキャリアが始まることを願っています。旅行業務取扱管理者の資格取得を目指し、第一歩を踏み出しましょう!

旅行業務取扱管理者試験のそれぞれの科目の解説や練習問題については、以下のリンク先にまとめています。こちらもぜひご活用ください♪